GD3 想定外を想定する未然防止手法を読んでみて
トヨタ式未然防止手法のGD3で有名な吉村先生の、2冊目の本を読んだので読後感を書いておく。
2002年に発行された「トヨタ式未然防止手法GD3」のその後を書かれた本で、GMや日産でDRBFMを展開された経験が書かれている。
- 作者: 吉村達彦
- 出版社/メーカー: 日科技連出版社
- 発売日: 2011/09/01
- メディア: 単行本
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- 作者: 吉村達彦
- 出版社/メーカー: 日科技連出版社
- 発売日: 2002/09/01
- メディア: 単行本
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吉村先生のGD3は昔読んで内容は知っているが、改めて読んでみてもいろいろと発見がある。品質管理のマネジメントのツールの一つとしての位置づけとして見てみても中々良いツールである。普段何気なくやってることをこう体系立てて書かれている物を読むと、頭が整理出来てすごくいい。
まとめるとこんな感じかな。
DRBFMのポイント
- 品質のために変更箇所を見える化しろ(Good Design)
- 見える化した変更点を良く観察しろ(Good Dissection)
- 観察したうえで後工程の人と気付いてないリスクが無いか議論せよ。(Good Discussion)
- そして、問題に気付いたなら再発防止のために設計標準化しろ
品質とは
本の冒頭で、品質とは何かを議論されていた。
JIS 9000の定義では、「品質とは、本来備わっている特性の集まりが、要求事項を満たす程度」である。
分かったような分からないような。
吉村さんはこれを言いかえて、
「品質とは、製品の能力と、お客様の期待のギャップである。」と書いている。これは分かりやすい。
客が製品をどのように使うかをどれだけ知っているかが、その会社の品質的なノウハウと言える。
また、品質について有名なハインリッヒの法則についての日本と、海外の考え方の違いがすごく為になった。
日本では、ヒヤリハットもルール違反もすべてを対処しようと考えるが、海外では合理的に重大な問題だけを対処すべしというのが一般的であるらしい。
日本 | ルール違反も全て許さない |
海外 | 重大災害、軽度災害だけ効率的に対処 |
また、市場クレーム対応を品質保証部がやって、「設計部門にはもっと創造的な仕事を」、なんて言っている会社では、設計者を甘やかしているだけで、設計者の品質意識は上がらず、製品品質は上がらないと書いてあった。なんかどっかで聞いたような話である。
また、DRBFMにおいて重要なことは、設計審査ではなく、レビューにより新しい価値を製品に付けること。と述べられている。全ての作業は、製品に何かの価値を付ける行為でなければならないという主張である。