調達マネジメントにおける契約種類

PMBOKでは調達契約の内訳がインセンティブフィー等、いろいろと書かれているが、実際の実務上ではそんのもは聞いたことも見た事も無い。実務上でそんな困ったことは無いが、実際の所PMBOKの調達マネジメントは無視して業務していることに気付いた。
ちょっとここで、実務上(少なくとも日本国内)の調達契約業務とPMBOK上の調達契約の記載の整合性を確認してみよう。

日本国内におけるSW開発における契約種類

日本国内で仕事をしている際には、SW外部委託で検討が発生する業務委託契約の種類は、下記の2種類と思う。

  • 請負契約
  • 準委任契約

それぞれがどうゆうものかを整理しておく。それぞれの違いは、成果物と費用の関係だと思う。

請負契約

これは仕事の完成を約束するタイプの契約である。このSWをいくらで完成させてくれという契約であって、その過程や、実際にかかった費用は発注側は一切関知しない。仕事の成果物に対しての責任が受注側に発生するのがこれである。成果物完成後になんらかの瑕疵(不具合)があれば、一定期間以内(だいたい1年)ならば受注側は保障の範囲内で修正しないといけない。

準委任契約

業務の完成を保証しないタイプの契約である。発注側が依頼した業務を行っていた場合に報酬が支払われる。
下で説明する委任契約を法律上、拡大解釈したものである。

委任契約

準委任契約は事務作業に関する委託契約である。法律に関する契約をする時には委任契約と呼ばれる。
典型的なのが裁判の弁護の契約。

請負契約と準委任契約の違いは

端的に言えば、仕事を完遂する責任が生じるかどうか




PMBOKにおける契約種類

PMBOKででてくる契約の種類をまとめてみる。けっこういろいろあるが、やはり実務ではみないものである。

契約種類は大きく分けると2タイプに分かれる。

契約種類 発注側からすると 受注側からすると
定額契約 予算が確定出来る 予算超過してしまったら損にしかならない。絶対嫌だ
実費償還契約 予算がどれだけかかるか分からない。投資判断出来ない 掛かった分だけ貰えるなら安心だ


どちらもメリット、デメリットがある。というか、どちらかが安心を得て、どちらかがリスクを背負う形である。
どっちにする?というか、どっちがリスクを背負う?という2択にしかみえない。
発注側か納入側、どちらが強いかの力関係が影響しそうな感じである。

また、金に糸目を付けない。絶対やりきらないといけないPJ。だとすれば、実費償還契約でも良い気がする。

上記のそれぞれ具体的な契約内容をみてみよう。


定額契約 完全定額契約(FFP 普通の定額契約
インセンティブフィー付定額契約(FPIF) 普通の定額+パフォーマンス目標の達成度合いに応じた成果報酬
経済価格調整付定額契約(FP-EPA 普通の定額+為替変動吸収部分あり(国外取引の場合に使われる)
実費償還契約 コストプラス定額フィー契約(CPFF) かかった費用+一定額の納入者利益
コストプラスインセンティブフィー契約(CPIF) かかった費用+パフォーマンス目標の達成度合いに応じた成果報酬
コストプラスアワードフィー契約(CPAF) かかった費用+パフォーマンス目標達成で貰える成果報酬
タイムアンドマテリアル契約 T&M契約 単価(時給)だけ決める契約。

日本における契約種類のPMBOKとの対比

上記をみてくると、請負契約は、だいたいPMBOKでの定額契約と言える。
準委任契約は、実費償還契約と、タイムアンドマテリアルに近い契約だと言える。
どちらも全く同じとは言えないが。

なお、タイムアンドマテリアル契約は、派遣契約に近いものと言える。



諸外国における契約は

PMBOKの契約種類は米国に適用されるとして、それ以外の国ではどうなるのか。

瑕疵担保責任期間が短い国がある!
日本は1年だが、ブラジルは1か月、逆に中国は2年。


瑕疵担保責任期間は、SOW(作業範囲記述書)で明確にしよう!

SOWに努力目標とか書かれていないか注意が必要!