コミュニケーション管理:バベルの塔崩壊の理由

人月の神話と言えば、バベルの塔の表紙絵であるが、そもそもバベルの塔が何故崩壊したかはあまりよく知らない。


バベルの塔崩壊の理由

f:id:student2010:20180909201113p:plain

うーん。なんだっけ?


バベルの塔は、神の怒りによって、破壊されたじゃなかったっけ?


よく知らないです。はい。


旧約聖書の創世記の記述はこうです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「世界中は同じ言葉を使って、同じように話していた。東の方から移動してきた人々は、シンアルの地に平野を見つけ、そこに住み着いた。彼らは、『れんがを造り、それをよく焼こう』と話し合った。石の代わりにれんがを、しっくいの代わりにアスファルトを用いた。彼らは、『天まで届く塔のある町を建て、有名になろう。そして、全地に散らされることのないようにしよう』と言った。」

「主は降って来て、人の子らが建てた、塔のあるこの町を見て、言われた。『彼らは一つの民で、皆一つの言葉を話しているから、このようなことをし始めたのだ。これでは、彼らが何を企てても、妨げることはできない。我々は降って行って、直ちに彼らの言葉を混乱させ、互いの言葉が聞き分けられぬようにしてしまおう。』主は彼らをそこから散らされたので、彼らはこの町の建設をやめた。こういうわけで、この町の名はバベルと呼ばれた。主がそこで全地の言葉を混乱(バラル)させ、また、主がそこから彼らを全地に散らされたからである。」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


うん。別に神が「バベルの塔」自体を、壊した!とか、人間の傲慢さが招いた失敗とかいう話じゃあない。なんかそんな話をよく耳にするけど。

むしろ、神は、「彼らは同じ言葉でうまくコミュニケーションを取っており、このまま放っておけば、上手く完成しそうだ。」と言っている。


そこで、神は、「共通の言葉をなくして、コミュニケーションを遮断し、プロジェクトを失敗に導いている。」


つまり、コミュニケーション管理で失敗するなと言いたいわけである。



コミュニケーション管理に必要なもの

人月の神話では、以下の3つがコミュニケーションには必要である。と述べている。

+ 非公式な会合、折衝
+ 公式なミーティング
+ プロジェクト手引書

非公式な会合、折衝

非公式な会合とは、ようするに誰かと二人で立ち話とかのこと。
非公式な話し合いは、チームのモチベーション向上や、人間関係の構築に有効だ。

公式なミーティング

公式なミーティングは、進捗や問題点の情報共有と、問題解決、何かしらの決定の為に行うべきものである。
公式な会合での決定は、個人間の非公式な会合による妥協防止や、問題放置によるPJ遅延に対して有効である。
しかし、会合で何かしらの決定を行う時、かならず反対意見を持つ者はおり、ストレスや鬱憤が蓄積する。この解決の為に、定期的な振り返りミーティングを行う必要がある。人月の神話ではこれは半年周期で長時間の振返り実施を推奨しているが、アジャイルラクティスのように2週間程度のイテレーション期間の終わりにKPTで短時間でやるのが効果的で良いのではないかと思った。

プロジェクト手引書

プロジェクト手引書は、チームメンバが共通の認識の元に作業を行う為に必要なコミュニケーションツールでもある。人月の神話ではプロジェクト手引書という分かりづらい表現になっているが、用は、プロジェクト開発計画書、要件定義書、各種仕様書、設計書などのプロジェクトで作成される文書類を指し示す。

また、プロジェクトの最初の段階で、プロジェクトで作成するべき文書類の構成を定義しておくことも、メンバ間のコミュニケーションの為には良い。これは、誰が何に対してどこまでの範囲で作業を行う責任を持つかという共通認識確率に役立つ。

バベルの塔の教訓でも分かるように、プロジェクトメンバ間で共通の言葉をしゃべる事は、コミュニケーションでの失敗を防止し、プロジェクトを成功に導くためには非常に重要である。